血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2014年2月26日水曜日

赤血球沈降速度

赤血球沈降速度(Erythrocyte Sedimentation Rate; ESR)は、赤血球がガラス管の中で試沈んでいく速度を調べる検査です。

通称、「赤血球沈降速度」という名称を略して「血沈」・「赤沈」と呼ばれています。

採血した血液の中に抗凝固剤(クエン酸ナトリウム)を入れて、その血液をガラス管の中に入れて垂直に立てて、1時間目と2時間目に、上から何ミリ下がったか、目盛りを読みます。

即ち、赤血球がガラス管の中で沈降するスピードを調べる検査です。

組織の崩壊や炎症で赤沈が亢進することが知られているため、いつでもどこでも必要な検査として知られています。

その為に、血沈検査は"炎症反応のスクリーニング検査"として、おおまかな疾患の可能性を検討する指標を求めるために実施されます。


【亢進・遅延】

著明亢進 100mm以上

高度亢進 50mm以上

かなり亢進 30mm以上

やや亢進 男性 11~29mm、女性 16~29mm

遅延 男性 01mm未満、女性 02mm未満



【基準値】

1時間値 男性10mm以下、女性15mm以下

2時間値 男性25mm以下、女性40mm以下

※注意※

15歳以下と50歳以上は正常値が高い(約10mm以内)

血液は希釈されるほど血沈速度は遅くなる。

採血後、長期間放置した血液を使用すると血沈速度は遅延する。

【亢進】

※亢進とは沈降速度が速くなること※

貧血
結核などの感染症
心筋梗塞
リウマチ・膠原病などの慢性炎症疾患
白血病
悪性腫瘍
潰瘍性大腸炎
肝硬変などの肝疾患
ネフローゼ症候群・*慢性腎炎などの腎疾患
多発性骨髄腫
高グロブリン血症
高フィブリン血症
生理的変動
妊娠
老年者

【減少】

播種性(汎発性)血管内凝固症候群 (DIC)
赤血球増加症
無フィブリン血症

※亢進・遅延が認められても血沈検査のみで疾患を特定することは出来ません、他の検査を実施して総合的に判断する必要があります。

【赤血球沈降速度の自動化】

最近では自動測定装置を使用して、自動計算によって30分値を10分、1時間値を20分、2時間値を40分で検査できるようになっています。