血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2014年9月13日土曜日

デング熱-2.デング熱の臨床症状と血液検査の詳細について-

デング熱の発症者は9月12日現在、17都道府県で115人となり以前終息する様子はありません。

【臨床症状】

蚊に刺された3~7日後に、発熱(38~40℃)、頭痛(目の裏が痛い)、関節痛、下痢などの症状が5~7日感続き、熱が下がる頃に全面が赤くなり、中に白い斑点がポツポツとある皮疹が現れるのが特徴です。

特に高熱に加え、頭痛、目の奥の痛み、ふしぶしの痛み、筋肉の痛みがあれば感染が強く疑われますが、咳、のど痛、鼻水などの症状がある場合はデング熱の可能性は低いです。

発熱から5~7日後の熱が下がり始める頃に全身倦怠感が強く表れ、重症化する可能性があるので注意が必要です。

【血液検査】

発熱の3日目ごろから白血球数と血小板数が少なくなります。

白血球、血小板の減少が特徴的です。

"デング出血熱"の場合は、

①ヘマトクリット値は同性同年代の人に比べて20%以上上昇。

②血小板数は減少し、100000以下となる。

③出血凝固時間は延長する。

④補体は活性化されて、C3は減少し、C3a、C5aは上昇する。

【入院の必要性】

高熱が続いて体力が消耗するか倦怠感が強い為に、食事や飲水が十分にできないことから入院に至る人が多いです。

【異なるタイプのウイルスに感染すると重症化しやすい】

デングウイルスは血清型で4つのウイルス型(DENV-1、DENV-2、DENV-3、DENV-4)に分類されています。

血清型の異なるウイルスによる2度目の感染をすると重症化しやすくなります。

同じ血清型のウイルスに再感染しても発症することはないと考えられています。

過去に感染したことのある人が他の血清型のデングウイルスに感染した場合は、初回の感染で中和能を有さない感染増強抗が体内に多量に産生され、2回目の感染時に大量の免疫複合体が血液中に形成されるから、体内の炎症が強く現れデング出血熱を引き起こすと考えられています。

【発症率】

デングウイルス感染者のうち、発症するのは10~50%で、重症化するのはそのうちの数%程度です。

注意しなければいけないこととして、妊婦や母体からの移行免疫の切れる6カ月以上の乳幼児、糖尿病の患者は重症化しやすい傾向があることです。

2014年の世界保健機構(WHO)の発表では、重症化するのは感染者200名に1~2名程度、死亡に至るのは感染者中約6000名に1名と推定されています。

【注意点】

デング熱ウイルス感染が認められている地域では、ヒトスジシマカ(ヤブ蚊)に刺されないよう、長袖等を着て可能な限り肌を露出しないような服装をすることと、虫除けスプレーを使用する対策を取る必要があります。

ヒトスジシマカは、11月下旬まで活動すると言われており、特に9月のヒトスジシマカは越冬卵を産むために活発に吸血活動を行っています。

熱い8月よりも9月や10月上旬にこそ危険とされていますので、晩夏から秋にかけても決して油断大敵です。

蚊に刺された後に発症が疑われるような症状が出た場合には、素人判断をしないで早めに医療機関を受診することです。

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