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2013年9月23日月曜日

アレルギー検査について-7.アレルゲン刺激性遊離ヒスタミン検査-

アレルゲン刺激性遊離ヒスタミン検査(HRT :Histamine Release Test)は、 (好塩基球) ヒスタミン遊離試験とも呼ばれています。

血液中から分離した好塩基球という白血球の一種にアレルゲンを添加し、 そのとき放出されたヒスタミンの量を測定し、アレルゲンに対する反応性を調べます。

この検査は、特異的IgE抗体と結合した好塩基球が原因アレルゲンと反応して、 アレルギー症状を引き起こす原因物質であるヒスタミンを遊離したかどうかを検査するので、 同じin vitro(イン・ビトロ:試験管内での検査)の検査でありながら、特異的IgE検査よりも生体内の反応をより的確に反映するという特徴があります。

血液を調べるため、アナフィラキシーショックなどの危険性がある負荷試験よりも安全に実施ができます。

【どのような場合に検査をするのか】

食物を負荷することで強い症状(アナフィラキシーショック)を誘発するリスクが高いと思われる患者の場合は、 負荷試験を行わずに抗原診断の補助検査として使用できます。

特に汗アレルギーの患者に、アトピー性皮膚炎の原因特定に利用できます。

アトピー性皮膚炎の患者では、"ヒト汗抗原"に対して陽性を示す患者さんがおよそ80%存在すると言われています。

従ってアトピー性皮膚炎では、自分の汗に過敏に反応し、皮膚症状が悪化すると言われていましたが、 最近の研究によって"ヒト汗"のアレルゲンの正体は、健常人にも常在するカビの一種が産生する蛋白である事分かりました。

【検査の種類】

1.HRT乳幼児期用食物:卵白、オボムコイド、オバルブミン、牛乳、小麦

2.HRT学童・成人期用食物:ソバ、ピーナッツ、エビ、カニ、ゴマ

3.HRTアトピー性皮膚炎:ヒト汗、ヤケヒョウヒダニ、ネコ上皮、イヌ皮屑、カンジダ

2013年9月16日月曜日

アレルギー検査について-6.遅延型アレルギー検査-

遅延型(Ⅳ型)アレルギーは、細胞の中のTリンパ球が引き起こすアレルギーで、即時型(Ⅰ型)アレルギーに対し、発現が遅く抗原(アレルゲン)を体内に取り込んでから半日から数日たって反応がおこります。

これは、IgGやIgAといわれる抗体が関与していることがわかっています。

遅延型アレルギーの代表格は、"接触性皮膚炎"で、俗に言う「化粧品かぶれ」、「うるしかぶれ」などといわれているものです。

【遅延型アレルギーの特徴】

アレルゲンとの接触後、数時間から数日経って初めて反応が出ることから、原因の特定が困難なアレルギーですです。

一般的に遅延型反応は、食物アレルゲンに対する過敏性からきていることが多いです。

このタイプのアレルギーは、よく"隠れアレルギー"とも呼ばれます。

【遅延型アレルギー検査】

遅延型フードアレルギー検査を実施します。

日本人の食生活にお馴染みのある乳製品、野菜、果物、肉、魚、ナッツ、穀類、緑茶、烏龍茶、コーヒー、スパイス、昆布などをバランスよく揃えた、96種類の日本標準パネルで検査を行います。

※遅延型アレルギー検査は、現時点ではに関して、日本での検査は不可能なことから医院によっては、血液をアメリカへ送って検査を依頼していますので、結果を得るまでには時間がかかる上、高額な費用がかかります※

※USバイオテック研究所 日本正規代理店で検査キットを購入して、血液採取セットで血液を取り、USバイオテック研究所に郵送して検査を依頼することが可能です※

およその価格は、50000~70000円前後します。


【判定基準】

CLASS 0~6までの7段階に分類されます。

CLASS 4~6:強陽性⇒ 6ヶ月間の摂取制限。

CLASS 3 :中等度陽性⇒ 3ヶ月間の摂取制限。

CLASS 0~2:低反応⇒ 現状のままでOK


【おまけ】

アトピー性皮膚炎は、即時型アレルギーの代表格と思われがちですが、最近の研究によって遅延型アレルギーによっておこる側面もあることが明らかにされつつあります。

2013年9月2日月曜日

アレルギー検査について-4.MAST33(同時多項目アレルゲン特異的IgE測定)-

33項目のアレルゲンを1回で測定できる保険適応の検査です。

【検査アレルゲンの内容】

・食餌アレルゲン14項目

1.ソバ
2.小麦 
3.ピーナッツ 
4.大豆 
5.コメ 
6.マグロ 
7.サケ 
8.エビ 
9.カニ 
10.チェダーチーズ 
11.ミルク 
12.牛肉 
13.鶏肉 
14.卵白


・花粉アレルゲン9項目

1.オオアワガエリ 
2.ハルガヤ 
3.カモガヤ 
4.ブタクサ混合物Ⅰ
5.ヨモギ 
6.スギ 
7.ヒノキ 
8.ハンノキ 
9.シラカンバ

・環境アレルゲン4項目(通年性)

1.コナヒョウヒダニ 
2.ハウスダストⅠ 
3.ネコ皮屑 
4.イヌ皮屑

・その他アレルゲン6項目

1.ペニシリウム 
2.クラドスポリウム 
3.カンジダ 
4.アルテルナリア
5.アスペルギルス 
6.ラテックス

【検査目的】

アレルギー性鼻炎などで患者さん自身が気づかなかった感作を発見することができます。

【検査費用】

実施料1430点(健康保険利用で3割負担:約5000円)

【検査方法】

CLEIA法

【検査検体】

0.5mlの血液で検査可能です。

【判定基準】


2013年8月26日月曜日

アレルギー検査について-3.特異的IgE検査-

Ⅰ型アレルギーはIgE依存型と呼ばれ、IgEが大きく関与しています。

体内に呼吸や飲食物の摂取、薬剤、注射、接触などによって異物(抗原)が入ってくると、それを防ぐために血清中にIgG、IgA、IgM、IgD、IgEなどの抗体ができますが、アレルギーに密接に関係する抗体はIgE抗体です。

体の中に出来たIgE抗体に、再び抗体のできるきっかけとなった抗原が入ってくると、急激に反応し、発疹、発熱、鼻汁、涙、かゆみ、ショックなどのアレルギー性疾患を引き起こします。

特異的IgEはアレルギーを引き起こす原因物質(アレルゲン)を特定するための検査です。

【検査方法】

血液を使い酵素免疫測定法の一種であるFEIA法(Fluorescence-Enzyme Immunoassay)で検査します。

【基準値】

特異的IgE抗体の正常値は健常者で0.34 UA/ml以下です。

抗体のある場合、0.35~100までの数値で示します。

これをRAST値と云います。

そして0.35~100までの間を1~6までの6段階に分類します。

これをRASTスコアと言います。

RASTスコアの数値が高いほど抗体が多いことを意味します。

【判定】



クラス1は疑陽性つまりアレルゲンである疑い、クラス2以上は陽性つまりアレルゲンの可能性が高い、クラス4以上は強陽性で大部分の患者さんがアレルギー反応を示すといわれています。

※IgE抗体が証明されてもアレルギー症状が認められない人もいます※

また、クラスの上昇はアレルギーの悪化を意味し、減少は改善を意味します。

次回は特異IgE抗体検査の検査項目について解説いたします。

2013年8月19日月曜日

アレルギー検査について-2.好酸球検査-

好酸球は本来、寄生虫による感染症で増加する白血の一種ですが、肥満細胞や好塩基球のヒスタミン遊離を抑制する作用をもち、アレルギー疾患で血中に増加することが知られています。

従って体にアレルギー反応が出ると増加します。

ただし好酸球が増加してもアレルギー性疾患とも必ずしも言えませんが、アレルギー性疾患に増える場合が多いのでアレルギー性疾患の指標にはなります。

特にアトピー性アレルギーの場合に好酸球は著明に増加します。

好酸球増多はアレルギー反応が起きた後30分ぐらいからはじまり、数時間でピークとなり以後減少していきますので、発作直後に出る水性鼻汁には好酸球は少なく、その後水粘性になった鼻汁中に多くなります。

特にアレルギー性鼻炎では、血液中より鼻粘膜での増加が顕著となります。

【検査方法】

顕微鏡を用いて鼻汁中の好酸球の数を調べます。

【判定】

全視野で1個でもあれば陽性とし、割合によって(1+)~(3+)で表します。

アレルギーの約90%は陽性となります。

非アレルギーでの陽性は1~2%と少ないことから、アレルギー性か否かの判断の指標となります。

好酸球は正常の人では鼻汁の中には認められません。

※好酸球検査は鼻アレルギーの検査としては大変重要な検査です※