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2015年1月18日日曜日

寄生虫感染症検査-4.横川吸虫-

【横川吸虫とは】

横川吸虫は、小腸に寄生する人体寄生虫の1種で成虫の体長は1-1.5mmでほぼ楕円形で、雌雄同体です。

横川吸虫という和名は、明治44年に台湾のアユからはじめてこの寄生虫を発見した医学者横川定(1883~1956)に由来します。

日本では近年減少傾向にありますが、依然感染報告者数第2位の寄生虫(因みに第1位はアニサキス、第3位は広節裂頭条虫)です。


【横川吸虫の感染経路】

人間の便の中にあった横川吸虫の卵が淡水産のカワニナの中でふ化し、その後いろんな形態を経ながら(虫卵→ミラキジウム幼生→スポロキスト幼生→セルカリア幼生)アユやシラウオなどの淡水魚の体内に入り感染型の幼生になり、この魚を人間が生や加熱不十分な状態で食べる事により感染します。

【横川吸虫の寄生部位】

口から取り込まれ小腸まで移動して感染し、小腸に寄生し成虫となります。

【症状】

横川吸虫の少数感染の場合は、ほとんど自覚症状がない人が大半だと言われています。

症状としては、多少下痢が多くなる程度なのでこれが感染による症状とは殆どの人が気づいていないのが現実です。

度重なる感染で寄生数が多くなると下痢や腹痛、食欲不振、体重減少等の消化器症状(横川吸虫症)を引き起こします。

また、小腸の絨毛の間に侵入することが慢性炎症につながるとする説もあります。

【治療】

早朝空腹時にプラジカンテルを投与し、約2時間後に下剤を与えて排泄を促すのが有効な治療法とされています。

【感染予防対策】

1.中間宿主となるアユやシラウオをなどを生で食べない。

※横川吸虫の少数感染では深刻な症状を起こすことが稀で、成虫の寿命も短いために採り立てて真剣に感染予防の措置がとられていないのが現状です※

2.生焼け状態の組織に少数のメタセルカリア幼生が生存していたり、アユを調理したまな板に、脱落した鱗などからメタケルカリア幼生が付着して他の食材に付着して感染源となることが報告されています。

3.近年では、生シラウオが鮮度を保った状態で流通するため感染者数が増加してます。

【横川吸虫の検査】

疑いのある患者の便を用いて、遠心沈殿集卵法により虫卵を検出します。

横川吸虫が感染していても、成虫が自然に排出されて虫卵が検出されなくなることもあります。

血清検査は行いません。

【判定】

便の中に横川吸虫の虫卵があれば、横川吸虫に感染していると判断します。