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2012年12月3日月曜日

HLA検査-7.まとめ「HLAを知って病気を予防する」-


内外の多くの研究者により、HLAとある種の疾患に関係があることが明らかにされています。

自分自身のHLAを知ることによって、どのような疾患にどの程度かかりやすいかがわかることがあります。

例を上げますと、

・糖尿病に他人より4倍発症しやすい(B54、DQB1*04:01、DRB1*04:05)

・腫瘍性大腸炎を4倍発症しやすい(DRB1*09:01、DR2、B52など)

・ベーチェット病(Behcet病)に9.3倍発症しやすい(B51)などがあります。

しかしマーカーとなるHLAを保有していても必ずその疾患を引き起こすわけではありません。

自分自身のHLAを知ることによって、日頃から体調に気を配り検診回数を増やすなどの自己管理で病気を防ぐことができるので、自分自身のHLAを知ることは意味があります。

2012年11月25日日曜日

HLA検査-6.HLAとナルコレプシーとの関連性-


ナルコレプシーは、日中場所や状況の区別なく起きる、強い眠気の発作を主な症状とする睡眠障害で、「居眠り病」とも呼ばれています。

日本人における有病率は0.16~0.18%と言われています。

ナルコレプシーはすべての人種において発症が見られますが、日本人のナルコレプシーの有病率は世界で最も高く、1万人当たり16人~18人(0.16~0.18%)と言われています。

ナルコレプシーの発症年齢は、10代から20代前半に集中しており、特に14~16歳がピークという統計があり、中年期以降に発症することは稀とされています。

ナルコレプシー発症原因は、脳内物質や血液が深く関係していると言われていますが、未だ不明な点も多く、すべては解明されていないのが現状です。

ナルコレプシーの病因のひとつとして関連性が注目されているは、HLAとの関連性があります。

日本人症例の全例がHLA-DR2/DQ1という血清型をもつことが発見され、現在、HLA遺伝子のDQB*0602(ハプロタイプ)が生物学的指標として診断補助に用いられています。

※健康な人でも同じHLAを持っている場合もあるので、このHLAを保有していれば必ずしもナルコレプシーが発症するとは言えません※

2012年11月12日月曜日

HLA検査-5.HLAとベーチェット病との関連性-


ベーチェット病とは全身に色々な症状が繰り返し現れる病気で、トルコの皮膚科医ベーチェットによって初めて報告された病気です。

ベーチェット病には、口腔内アフタ、皮膚症状、眼症状、外陰部潰瘍の四つの症状があります。

ベーチェット病患者は、HLA-B51抗原を有していることが多く、患者群では40-80%と高率でであり、健常群の10-30%と比べて明らかに高い保有率が確認されています。

即ち、ベーチェット病患者ではHLA-B51抗原を保有する人が有意に多いことです。

このことは、国や人種を越えて認められる所見であり診断の参考になります。

※しかし、HLA-B51抗原を保有する人が必ずしもベーチェット病になるとは限りません※

近年、第6染色体のHLA領域の解析によってHLA-A26抗原が、HLA-B51抗原とは連鎖しないで独立にベーチェット病と相関していることもわかってきました。

その結果、HLA-A26抗原がベーチェット病の第2の疾患感受性遺伝子であることが示唆されています。

HLA-B51抗原、HLA-A26抗原の両抗原のどちらかを保有している患者は、ベーチェット病患者全体のおよそ80%に認められています。

HLA-B51抗原とHLA-A26抗原のどちらを有するか、または両抗原とも有するか、両抗原とも保有しないかということで、ベーチェット病の病態や重症度に違いも認められています。